プレアデスの呟き
第1章 孤独
扉を開け放したベランダから白光りした月の光が部屋の中に入ってきていた。
私の宇宙一大切な息子が亡くなった。
調度その月の光の角度が私の顔と重なった時に、ふと我に返った。
私は開け放されたままのベランダの扉の前で、仰向けになって寝転がっていた。
かれこれ6時間以上こうしていたようだ。
「もう、何でもいい、どうでもいい」
仰向けになったまま、顎をあげて首をそらすと、真っ暗の闇の中に月の光と星の光が輝いて見えた。
40年以上生きてきて1番綺麗な光だったかもしれない。
「こんなに綺麗な世界に、もうあの子がいない」
そう思うと、一気に恐怖と不安が押し寄せた。
悲しいなんて感情はまだなくて。
日常では感情に麻酔の注射を打た…
もくじ (5章)
作品情報
偶然は必然、タイミングはいつもベストな時に。
物語へのリアクション
お気に入り
3読書時間
11分コメント
4リアクション
185