君色のLOVE SONG
第1章 Prelude
人がごった返す、夜の渋谷の交差点。
タイミングが合わず、俺が渡り始める前に信号は赤になってしまった。
この街にはいろいろな音楽が常に流れていて、本当に気持ち悪い。音をシャットダウンしたくて、俺はここを歩くときはいつもヘッドフォンをつけている。耳栓と同じ役割だから、曲は流していないが。
ふと顔を上げると、目の前のスクリーンに一枚の絵が写っていた。
夕陽のようにオレンジに染まる背景。中心にいる女の子は女子高生のようで、片手で傘、もう片方の手にランプを持っている。彼女が足をついているのは橋ではない。ピアノの鍵盤だ。
その絵を俺は知っている。もう一生見ることもないと思っていたのに。
気付いたら、ヘ…
もくじ (9章)
作品情報
作品紹介文はありません。
物語へのリアクション
お気に入り
4読書時間
じっくりコメント
10リアクション
108