完結

オルゴールはカノンをうたう

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更新日:2020年10月31日

オルゴールはカノンをうたう

第1章

 『わたし』がその店を見つけたのは、冬の始まり。雪にはまだ遠く、紅葉は赤くなるのをやめて、少しずつ街が灰色になっていく頃でした。
 オフィスの機器トラブルで仕事ができなくなったわたしは、しぶしぶ家に帰る最中でした。リモートワークにすればいいのに、いつまでもオフィスに出て行かなければならないのが嫌でしたから、少しむくれていた顔が、店のショーウィンドウに映っていたのです。
 ぱっとしない化粧。地味な眼鏡、言うことを聞いてくれないくせっ毛。精々、申し訳程度に仕事着に押し込んだ身体も窮屈で、何もかもうまくいっていない気持ちに苛まれていました。
 自分の苛立ち気味の足音ばっかりが耳に響いて、より一層不機嫌になる心地…

もくじ (1章)

修正履歴
  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年10月31日

作品情報

仕事帰りに不思議な店を見つけた『わたし』と、ひとつの思い出の話。

『音』を意識した作品です。

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