最後の一週間を、私にください。
第1章 第一章
「俺、東京に行くことにした」
二月の終わり頃。
学校から少し離れた、街を見下ろせる丘でのこと。
彼の口から出た一言に、言葉を失いました。
え、東京・・・・・・?
最初に、立ち並ぶ背の高いビルと、せかしない人混みが頭に浮かびました。どこか遠くの街、というイメージでした。
次に、私たちのことを考えました。
私たちの街から、東京に通うことはできません。私は地元の大学に進学するから、一緒に東京で暮らすこともできません。
私たち、遠距離になるってことでしょうか。
思わず、ぽかんとしてしまいました。
今の私の顔を鏡で見たら、目が白黒していることでしょう。例のごとく、私は何も言えませんでした。
そしてもちろん、直後に降っ…
もくじ (6章)
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一週間で、人は何を為せるのでしょうか。
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