完結

メランコリック

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2020年11月2日

メランコリック

第1章




 冬の海は重苦しい。
 どんよりとした空と同じ色をした水平線が一体化して、ぼくの気持ちをいっそう憂鬱にさせた。

「戻ってなんか、くるんじゃなかったかな……」
 本当なら故郷に戻ってくるつもりなんてまったくなかった。 
 でも幼馴染から結婚式の招待状が送られてきて、高校卒業以来――10年ぶりに故郷にやってきたのだった。

 故郷の海は、ひと気もなければ色もない。
 シーズンなら色とりどりのパラソルが広がる風景は灰色で、寄せては返す波の音だけが響き渡っている。
 ぼくは絶え間なく続く波音を聞きながら、ポケットに入れっぱなしだったサイダーの缶を取り出した。

 そしてそれをぼんやりとした目で見つめ、数時間前の出来事を思い返す。



もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年11月2日

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