完結

仕事帰りに海へ

恋愛

更新日:2020年11月3日

仕事帰りに海へ

第1章

自動販売機のかげで
ストッキングを脱ぐと
夜の潮風にさらされる両脚が
無防備でたよりない。

通勤スーツのままで
あなたも私も裸足になって
静かな夜の砂浜を歩く。

暗い海では
波の音が近い。
足指の間の
濡れた砂の感触。

月明かりに光る
波打ち際の手前で
両手から靴も鞄も
砂の上に落として

立ち止まる私を
後ろから
あなたが強く抱きしめてくれる。

乱れた髪。
その体ごと。

南に見える
スピカは
あの日こぼれた
真珠のひとつ。

耳元であなたが
何かを囁いている。
聞こえないけど私は
うなづいている。

さっきから あなたの人差し指が
そっと私の背中をすべって
服の下の
今は見えるはずのない日焼けの跡を
正確になぞっているから。

聞こえなくても
恥ずかしくて

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年11月3日

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