ある妻のありふれた一日
第1章
初冬の朝。
柔らかな日差しのキッチンであなたと向き合う。
ハムエッグとトーストをゆっくり口に運ぶあなたに
新聞で仕入れたばかりの今朝のニュースを
できる限り身振り手振り交じりで伝えるのが私の日課だ。
政治的な大きな事件は仕方ないけど
暗い気の滅入るニュースや
興味のない芸能ニュースは省いて
あなたをどれだけ笑わせることができるかが
私の勝負。
今日こそ笑いすぎたあなたが
食後のコーヒーにむせますように。
さて、と言うと
あなたは身なりを整えて
今日も着ぐるみシティに働きに行く。
あの町では表情もなく
お互い心を見せあうこともなく
人々は働いているそうだ。
いってらっしゃい。
私は掃除と洗濯をすませ
買物であなたの好物を買って…
もくじ (1章)
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