完結

朝日が昇る

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2020年11月5日

朝日が昇る

第1章

 夜明け前の道をひとり歩いていた。

 湖に面した遊歩道をとぼとぼと歩く。あたりは薄暗く、道行く人はいない。日が変わる前から散々に酒を飲んだせいで頭が痛い。里奈に投げ捨てられた言葉がぐるぐると回っている。

「一樹のそういうところ、みんな見てるのよ」

 おまえに何がわかる、と独りごちながら石ころを蹴飛ばした。湖に転がり落ちてぽちょん、と情けない音がする。

 里奈とは七年、遠距離恋愛をした。高校の同級生だった彼女と二十二のときに地元でばったり再会し、酒の勢いで「実は高一の時から好きだった」と言うと「私が先に好きだった」と逆に告白されて付き合うことになった。半年経った一番燃え上がっている時に彼女が建築の仕事で転勤と…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年11月5日

作品情報

二十九になっても安月給の俺。恋人の里奈に愛想をつかされたって仕方がないと思う。
もう終わりかな、と明け方の遊歩道を歩いていると、ひとりの女性が姿を見せた。
「里奈……?」
里奈と同じ顔をした彼女は、里奈ではなかった。

過去と未来が交錯する――夜明けの物語。

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