空を見上げれば
第1章
この街には年に一度、不思議な花火が上がる。人々の思いが可視化された花火。作者不明、しかし安全性は十分にあるとして、特別枠として市から正式に認められた花火だった。この街の人々はその花火が上がる日を楽しみにしていた。
ある年の花火の上がる日。人々は土手に集まった。やがて騒ぎ声は小さくなり、深い沈黙が訪れる。今年も綺麗に、いろいろな感情を乗せるはずだったのである。しかし一向に上がらない。おやどうしたものかと騒めき始めた。残念そうに帰って行く者、もう少しだけ待とうと必死な子供達。待つ者もちらほら居たが
まだ上がらない。もうダメかと諦めた時、一人の子供がこう言ったのだ。
「…………つまりこの花火は感情をエネ…
もくじ (1章)
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