完結

言、まびく前

青春・学園

更新日:2020年11月19日

言、まびく前

第1章




 楽しみの伝染だ。

 隣に座る松くんを意識しながら、冷たい空気を喉の奥にスゥっと。
 ……うん。訪れる皆ひそひそ手を取り合って、空からの伝言を期待してる感じ。

「ありがとな」
 静かに言葉を置いた。
 その言い方が少し気になり、目を開いて横顔を見つめる。
「何が?」
「色々と……。花火大会、一緒に来てくれて。いつも、助けてくれて」
 右手首に通した紐から、ベンチに立て掛けられた白杖へと目を移す。
 なんて答えたらいいのか詰まってしまい、ただ笑った。

 二年の二学期を締めくくるテストが終わり、解放感でいっぱいな土曜日。
 もし誘われてなかったら、今ごろ制服のまま寝ているだろう。
「いいよ、どうせ暇だったし。でも……」
 いや、やっぱり…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年11月19日

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僕は、今まで何を諦めて、
言葉にしなかったんだろう。

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