私からあなたへこの思いを届けよう
第1章 花火を観にくる理由は人それぞれ。それでいいんです。
その瞬間。
光に照らされるみんなの顔を見るのが、私はたまらなく好き。
まばたき、呼吸、会話。
それらを忘れた静寂の時間。
季節が夏であったなら、暑さを感じないくらいの清涼感を吹かせてみせる。
ほら、今晩もあの1組の親子が息を飲んで見上げているよ。
小さな子どもはかき氷を食べるのを忘れ、その瞳が苺色に染まる。
私は幸福な家庭を見守る存在でありたい。
この瞬間。
口を開いたみんなの顔を見るのが、この上なく愛しくて。
疲れ、自惚れ、恐れ。
これらを置いた至福の時間。
季節が秋であったなら、切なさを感じないくらいの温かい空気感を醸してみせる。
ほら、今宵もあの1組の仕事仲間がそんなこともあるさと見上げているよ。
涙を流す後…
もくじ (1章)
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一期一会のあなたに贈ります。(716文字)
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