赤夜色のルージュ
第1章
今夜、開催される花火大会に向けて準備を進めていた。僕は慣れた手つきで下地とファンデーションを済ませ、アイメイクに移った。黒のアイライナーは少し跳ね上げ少し長めに、目尻の下瞼にはルージュと同じ赤夜色をしたアイシャドウで引き締める。睫毛は長さ重視で一本一本丁寧に、ぬり残しがないように。ビューラーに持ち替え、まつ毛をぐっと上向きへとカールしていく。この工程で仕込んだ色味が活き活きと踊り出す。ふと時計を見ると家を出る10分前になっていた。僕は急いで、肩まで伸びた髪の毛を外ハネにして黒のニットに袖を通し、シルバーの光沢のあるプリーツスカートを履いた。そして、最後にリップを取り出した。それは、夜に赤を溶…
もくじ (1章)
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