手を伸ばせばきっと
第1章 あかり
こんな朝を迎えられることを
太陽に手が届くことを
あの頃の僕はまだ 知らない
今日もひとり。
公園の小さなベンチに腰を下ろす。
星空が綺麗な夜はすごく穏やかな気持ちになれる。ずっとこうして夜空を見ていたいな。
ねぇ、母さん。
母さんから僕が見えてるかな。
僕が小さい頃、ばあちゃんちの裏のこの公園へよく連れてきてくれた。
ジャングルジムにかけあがり、お日様に手が届きそうだって言って
空に手を伸ばしてたっけ。
大きくなったら届くかなぁ
なんて言ってさ。
母さんは、優しく
「そうね、きっと届くよ」
ってベンチで笑ってくれた。
たくさん絵本も読んでくれたし
たくさん歌も聴かせてくれた。
母さんの笑顔はまるで太陽だった。
僕が小学校を…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
お日様が苦手な主人公、少年の心に"あかり"がともってゆく姿を描く。母を亡くし、絶望しかなかった少年 と 女子力高く顔立ちも心もキレイな女子高生との出会い。それぞれが放った言葉にそれぞれが大きく変わってゆく。
"お日様"と"太陽" 表記が違うところにも着目してみてください。ご覧になる方の心が温かくなりますように。
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