前夜~見えない月に
第1章 (1)再会
ヒロはここに来るまですれ違った高校生を見て思わず、
「そうだ、文化祭の季節だな」
と呟いた。
そういう彼が訪れたのはどこにでもある都内のファミリーレストラン。ヒロはここを集合場所に選び、そして今、このファミリーレストランのドアを恐る恐る開けて入っていく。どんなにそっと入ろうとしたところで、入ってきた彼を感知して、客の来店を告げるチャイムが鳴る。本当は、もう少し入り口でみんなが集まっているか確認してから入るつもりだったのだが、ファミリーレストランのチャイムは、そんな猶予を与えずに客を迎える。そのチャイムを聞いた瞬間、こっちを確認されたらどうしようと思わず下を向く。だいたいみんな忙しいんだから来るわけ…
もくじ (30章)
修正履歴作品情報
それでも、夜は明ける。かくれた月のような自分の気持ちに気がついても…
思い出を共有した、6人の友人の、再会と再生の物語。
高校時代の同級生カズ、コウ、チエ、ハル、ミカ、ヒロの6人は卒業後、6人で会っていない。それぞれ大学を卒業し、仕事をしている。ミカの結婚をきっかけにヒロが他の4人に声をかけ、6人でミカの結婚式の演出をしようとする。彼らは高校の文化祭で期せずして演劇を一緒にやることになり、その思い出と仲間への思いをそれぞれ胸に秘めている。それぞれがそれぞれに対しての過去の気持ちに気付きながら、それぞれ現在の事情をかかえ、また新たな関係が生まれていく。
そして、それぞれの結婚式前夜が来て、当日を迎える。
※2022年2月7日 章立てを変更してつめて、一章途中に追加しています。
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