完結

ある日の黎明

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2021年2月7日

ある日の黎明

第1章

 まぶた越しに薄く光を感じる。直後、特に意識することなく目が開く。

 東の窓から差した陽の光がベッドの足元に落ちている。
 いつも通りの、何ということのない朝だった。目の前にあるのも、いつも通りの顔だ。ただ、目覚ましが鳴る前に起きてしまったという点だけが、いつもと違う。

「おはよう」僕はまだ眠っている妻の顔に向かって呟いた。ふいに昨日のことを思い出し、ごめんね、とこぼれ出る。 

 昨日は結婚一周年の記念日だった。夕飯の時間にはなんとか帰られるようにする。そう言って家を出た。

 ただ、そんな特別な日も、「医療従事者」という括りにドンピシャで収まる僕の仕事は、やはり、時間通りには終わらなかった。

 増え続ける感染者…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年2月7日

作品情報

特別な日すら特別に過ごせない、そんな疲弊し切って弾力を失った人の心に、一滴だけでも水を与えたい。
そんな話です。読んでくださると有難いです。

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