そっと、背中をさすって
第1章 第一章 輝ける闇の中で
紺碧の空。まさにそんな表現が似合う青空が眼前に広がっている。太陽光が照りつけ、見えない紫外線という光が皮膚を串差しにする。そんな日光をもろともせず、プールデッキでは多くの男女が賑やかに水遊びを楽しんでいる。
父から大学の卒業旅行に、とプレゼントされた豪華客船の旅。横浜を出港して、長崎を経由した後に韓国の済州島に向かう旅だ。父は私に何かをプレゼントする時は、そっと背中をさすってくる癖があった。それが何かのおまじないのように。
「ねぇ今、凄く格好いい人がいたよ! ちょっと目の保養に眺めてくる!」
明美は私にそう告げると返事を待つこともなく、走り去って行く。やれやれ。この船の動力源はエゴなのか。そんなこと…
もくじ (4章)
作品情報
父からプレゼントされた豪華客船の旅。そこで思いがけない真実が見えてくる。幸せとは何なのか。
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