ボケナスキング
第1章
まさか、こんなに足が震えるなんて・・・。
俺、神崎竜一は、幕前の待機場所にいた。だだっ広い空間。遠くから声援が聞こえる。自分たちのいる場所は、少し照明が暗い。人の顔がやっと見えるぐらいだ。
足の震えを止めるべく、軽く太ももをつねった。さっきから、呼吸が荒い。口の中が乾ききっている。口内の皮膚と皮膚が張り付いている。のどがやけに乾いていた。
ここは、漫才大会の決勝の場。賞金一千万をかけて、生放送で優勝者を決める。今、前の組が必死で漫才をしている。次は、俺たちの番だ。
隣では、相方の原中修二がいつもどおりぼーとして立っている。余裕があるというか、動じないというか。
少し小太りで、二十五歳には見えない。おか…
もくじ (1章)
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