泣く。 世界の終わりについての考察
第1章
「うわああああ」
という大きな泣き声が響く。
こうなったら、もう、僕にはどうしようもない。彼女にとっては、世界の終わりがやってきたのだ。
「しょうがないだろう。お母さん、仕事なんだからさ。」と慰めてはみるが、それは彼女の耳には届かない。目覚めて、彼女が自分の母親がいないことを訴えるためには、ただ、泣き叫ぶしかないのだ。
「お母さんは、がんばって働いてるんだから、今日はお父さんでがまんしてよ。」
そう声をかければ、かけた分だけ、違う、とでもいうように、彼女の泣き声は、また一段ボリュームがあがる。
もう、これは手に負えない。
そうは思うが、だからといって、彼女にかまえるのは、残念ながら自分しかいない。今日は平…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
世界が終わろうとする時、世界を終わらせないために、父と娘はどこに行くのか。
世界が続くように、願いながら、二人は家を出る。
仕事に出たお母さんを求めて泣き続ける子どもと一緒に過ごす父親の物語。
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