レシートを食べた幸せな本
第1章
前園一馬は、ニヤニヤしながら部室で本を読んでいた。窓の外は快晴。自分が生まれた五月は、本当に読書向きの気持ちのいい季節だ。
読んでいる本は、児童書。ハードカバーで茶色い表紙は、まるで西洋の魔法の書のようだ。
「一馬、何、にやにやしてるの?」
頭をかき、あくびをしながら、ソファにいた指原歩が話しかけてきた。
「あゆむ、起きたんだ。今日もよく寝るね」
「いくら寝ても、眠いんだ。これ、病気かなぁ。春眠、暁を覚えず、覚えず・・・」
「確かに、春はいい季節だよね」
本から視線を離して、窓の外を見る。差し込んでくる朝の光は強すぎず弱すぎず、心地よいぐらい温かい。
あらためて歩を見ると、またうとうとして寝ている。
「おー…
もくじ (1章)
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