スイミングインストラクター
第1章
近所のフィットネスクラブには、優秀な水泳のコーチがいる。過去の優秀な選手の実績があるわけでもなく、優秀な選手を輩出するわけでもない。ただ、間違いなく、泳ぎのうまくない人たちをあっという間に、ある種のコツをつかませていく。だから、そのフィットネスクラブの会員たちは、彼が受け持つ水泳講座になると、大挙して彼の教えを請おうとする。実際、僕もこの講座を受けるために30分前に整理券をもらわなければいけなかったくらいだ。でも、その時だって、もう数人のおばあさん達が待っていた。
このように彼は優秀で、人気のコーチだったが、そこには大きな問題があった。
彼はカワウソなのだ。
「いいですか。お腹にぐっと力を入れて、…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
言葉にすることと習熟について。
身体と言語のつながりについての考察。自分の身体の動きを他人に伝えるための言葉の役割。
優秀な水泳のコーチであるカワウソの話。
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