朝か夜か 百人一首の恋
第1章
古典、中古と呼ばれる平安時代において、朝は別れの時間だった。
貴族の女たちは、家から出ることなく、ひたすら、男の訪れを待つ。一夫多妻制だから、いくら結婚しても、男が自分のもとを訪れるとは限らない。彼女たちにできることは、訪れがないことを恨む歌を詠むくらいで、なんとか、その琴線に触れて、男が自分のもとを訪れるように待つしかなかった。
「蜻蛉日記」を書いた、道綱母の、百人一首にとられた歌は、
嘆きつつ独り寝る夜の明くる間はいかに久しきものとかは知る
(あなたが来ないことを嘆いて、ひとりきりで寝ている夜が明けるまで、あなたが来るのではないかと待っている時間は、どんなに長いか、あなたはご存じではないでしょう…
もくじ (1章)
作品情報
百人一首の歌を使って、朝と夜のどちらの方がよいか考える。
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