瀬をはやみ
第1章
同い年の健太とは家が隣同士ということもあって、幼い頃からいつも一緒だった。
幼稚園児のころ。
健太は私に、
「ぼくたちはきょうだいだよ。いつも一緒に遊んでるから」
そう言って私の手を握り、ふたりでいつもの公園へ走った。
私も健太の手をぎゅっと握り返して、「これからも一緒に遊ぼうね」と言った。
小学3年生になった。
学校からの帰り道、健太は私に、「ぼくたちはもうきょうだいじゃない」と言ってきた。
私が「どういうこと?」と尋ねると、「お父さんとお母さんが違うからきょうだいとは言わないんだって。僕たちは友だちなんだよ」と言った。
本当のきょうだいじゃないことくらい、私もわかってたけど、改めて健太に言われるとさみしか…
もくじ (1章)
作品情報
百人一首の「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ」をモチーフにしました。
幼い頃から一緒のふたりが少しずつ恋人関係になっていく。就職により離ればなれになりますが、また必ず一緒になるという思いを持ち続け、再会します。いつも相手からの告白がきっかけで関係が進んでいきますが、最後は主人公の「私」が告白して完結します。
長い年月の2人の恋愛ストーリーをご想像いただければと思い、あえて細かい描写はなくしました。
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