ホームラン
第1章
あの頃はよかった。そんな風に懐かしむ大人が嫌いだった。その時々に全力を出さないからそうなるんだ。
と、思っていたのにあの頃はよかったなんて思っている自分がいる。
小中高と野球に打ち込み、大学に進学。そこでは緩めのサークル野球部に入った。懸命に白球を追い続けた日々とはまた違った野球が楽しかった。
その日々を終えて、新卒一年目。エースとしてそれなりの活躍をした野球の経験をふんだんに話して入社した。会社側からは僕のその明るさやバイタリティに期待していてくれていたのだろう。けれど、社会の荒波は思っていたよりも厳しかった。
早くも冬になろうとしているのに、僕は未だに戦力にすらなっていない。同期で入った友人は既…
もくじ (1章)
作品情報
エースで4番に憧れた。
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