弾けて恋心
第1章
夏が始まった。まだ太陽が憎くはない程度に地球を照らす。高校最後の夏。特別なことが起こると期待させて、主人公じゃない俺たちには何も起こらずに終わる夏。
進学クラスではない教室は、この時期が一番受験シーズンを感じさせる。所謂AO入試希望者が多く、面接の練習時間が増えた。俺は、進学クラスにいくまでもない偏差値の大学希望だからそこにいるだけで、AO入試もないので早くて公募推薦から受験が始まる。なので、とりあえず土曜の午前講習にも参加していた。同じクラスの奴は、美大希望の東だけだ。進学クラス以外をひとつの教室に集め、ゆるめの講習が終わった。
「広瀬ー、帰ろ」
イヤホンを付ける手を止めるように、俺を呼ぶ声がし…
もくじ (1章)
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