鈴音文香の私的な詩ちょう

詩・俳句・短歌など

更新日:2021年4月12日

鈴音文香の私的な詩ちょう

第1章 殻・空




 桜の花びらを踏み付けて。
 川沿いの通学路。新旧様々なローファーが校門へと向かうと。
 久々に声が行き交う教室は、春の陽気を目一杯吸い込んでいた。


「おはよう文香……って、え!? どしたのその目」
 呼ばれた鈴音は振り返る。腫れぼったい瞼は、朝方 氷で冷やしても まだ若干の熱を残していた。
「花粉症?」
「そ、それ」
 本当は違う、けど。
 重たいのか よく分からない中身を、口に出す気にはなれない。

「うわぁ、ツラいね」友人の浜辺はサラッと流し「そうそう、また菜亜さんいるよね。やだな」
 リュックをドサッと机に置いた。チェーンに繋がれた桃色クマの目が、鈴音を捉える。
「そだね」
 人の顔=鏡。
 浜辺に釣られ、苦笑いを返していた。

もくじ (1章)

  • 第1章 殻・空 第1章 殻・空

    第1章 殻・空

    2021年4月12日

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菊苦菜。

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