完結

流行り廃りはあるけれど

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2021年4月16日

流行り廃りはあるけれど

第1章


 気づいたら私は山を登っていた。――職場から出てきたパンツスーツのままで。もちろん足元はスニーカーではなく、黒いヒールだ。荷物を麓の駐車場の車の中に置いて、身一つで登っていた。

 この山は、それほど標高の高い山ではない。傾斜のきつい場所はあるものの、小学生が遠足で来て登る山だ。私も子供の頃に登った。階段状に並べられた丸太が腐って、ボロボロになっている。ヒールでは多少歩きにくいものの、登れないわけではない。

 この日は平日。すれ違う人はいない。周りは手入れのされていない物言わぬ森林が続くのみだ。

 私は昔と変わらない夕陽が見たかった。きっと今の私を慰めてくれるだろう。そんな思いを抱いて、一歩一歩地面を踏みし…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年4月16日

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