死にたいならもっと死神が殺したくなるように生きた方がいい
第1章
「死にたい」
僕は殺風景な病室でつぶやいた。
誤解させたら申し訳ないけど、僕はベッドに寝てる側の人間じゃない。
「……じいちゃんの見舞いに来て最初に言うことがそれか?」
ベッドに寝てる側の人間はそう言って笑い、しわくちゃの顔にしわを増やした。
僕はベッドの傍らの椅子に座って、やせ細ったおじいちゃんを見下ろしている。
「でもじいちゃんだって、目の前でうまい酒飲んでる人がいたら『飲みたい』って思うでしょ」
「思う」
「同じことだよ」
おじいちゃんは今度は眉間にしわを増やした。
「……ったく、こちとら生きたくて生きたくてしょうがないってのに」
僕は苦笑して肩をすくめた。
「じゃあ僕にうつしてよ」
「おま、癌を風邪みた…
もくじ (1章)
作品情報
僕は死にたがっていた。おじいちゃんは死にかかっていた。彼女は――。
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