臨界に雫
第1章 怒声
「不動の一位に挑む」
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永成高校は、夏季休暇中でも部活動に力を入れている。
影が昼間よりも伸び始め、気だるげな足取りで運動部員が帰路につく夕方。
そんな中、校舎4階に存在する文芸部の部室内では──
「おい多賀! マジでやばいぞこれどうすんだ!?」
「……えっと、どうしましょうね?」
「殴り飛ばすぞてめぇ!」
「わーやめて先輩野蛮、良くないと思いますっ!」
「じゃあさっさと何とかしろっつってんだよ!」
そう叫びながら新津樹は拳を机に叩きつけた。雑多に積み上がった書類がひらひらと舞う。
「すみません……」
書類を拾い集めなが…
もくじ (5章)
作品情報
不動の一位に挑みます。
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