あきあかね
第1章
中学に入学して最初のホームルーム
「それでは出席を取ります。大きな声で返事をしてください。
出席番号1番 あきあかねさん」
「は…い…」
私は窓際の1番前の席から消え入るような声で答える。
背中の後ろで見知らぬ誰かが「クスッ」と笑う。
私の顔は耳のはしまで赤くなる。
勉強も体育も決して1番にはなれないのに、何でこの時だけはいちばん最初なんだろう。
「あきあかね」の「は…い…」から始まる新学期。沢山の好奇の目に晒されながら、私の小さな声は、季節外れの紅葉のように、儚く薄く消えてゆく。
春なのに
吾が名呼ばれてうつむけり
かそけき声で始まりを告ぐ
もくじ (1章)
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