箱庭
第1章
棺の形をした箱庭
詩書きとして生きた一年の命は
殺されるべきである気がして
いつもその「気がする」に首を絞められるぼくは
小さな楽園に閉じ込められて
このまま涙漬けの骨になって
永遠の一瞬を手に入れたって構わないと
そう思ってしまうのだけれど
膨張する宇宙を渡るには
この箱舟は小さくて
美しすぎるから
己の手で破壊し燃やすしかないんだ
そしてそれは不可能であって
煙草の匂いに混ざって届いてくる
現実の唸り声を恐れるぼくは
逃避行を延期にする
この庭はぼくが敗北者としてここで眠る限り
美しく生き続ける芥のまま
訪れる獣をもてなすだろう
もくじ (1章)
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