完結

真夜中のカフェイン

第1章

 終電までに帰れ。

 それが会社の方針だった。第二水曜日にノー残業デーも設定してあるが、守れる人間はいつも定時退社をしている事務員だけで、僕たちデザイン部はもちろん、WEB開発部も、動画制作部も夜遅くまで締め切りに追われていた。

 手を抜こうと思えばいくらでも抜ける仕事だったが、幸か不幸か、誰もが職人気質だった。クオリティの高いものをクライアントに届ける使命というよりも、恥ずかしい作品と共に、自分の名前が世に出る不安が勝り、寸前まで粘っていた。

 ただそれでも業界的にこの会社がマシだと思えるのは、方針通り、全員が終電に飛び乗って帰れるということだった。繁忙期や納品前にどうしてもという人間だけ、朝まで残るこ…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年5月5日

作品情報

オフィスに最後まで残り仕事をする僕は、いつもコーヒーをいれてくれる部下の真紀さんのことをふと考えていた

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