完結

落としたものは

第1章

ここのコーヒーは、なんだか味気ない。
流しっぱなしの、ろくに音声も聞こえないテレビを見ていると、誰かが近づいてきた。

「隣いいですか?」

目は細く、優しそうな表情のおじいさんがそこにはいた。年甲斐もなくナンパだろうか。

「はぁ。」

気の抜けた、ため息にも似た返事で、貴方に興味はないですよとアピールしてみたけれど、流石におじいさんは空気が読めないようで、「よっこらせ」と一生懸命に私の隣の席に座る。
暫く何の会話もないまま、私がコーヒーを啜っていると、不意におじいさんが切り出した。

「コーヒーお好きなんですか?」

「えぇ、まぁ。」

「そうですか。」

またしても静寂が訪れる。痺れを切らしてしまった私はつい、こちらから…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年5月6日

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なるべく落とし物はしたくないものです。

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