私について
第1章
私が私について考えることは悪だろうか。この薄暗い四畳半の部屋で一人在る私は、どこから来てどこへ向かい、何を好みどうやって生きるのか。どうせ最後には誰に対する何の罪だかわからないままに懺悔し、漠然とした不安と恐怖に押しつぶされて眠るだけだ。そう頭で理解していてもやはり納得できるはずもなく、数少ない友人らが講義を真面目に聴いているであろう平日の昼前に、私だけは家の中にいて、己の中に在る全ての私たちの声に耳を傾けている。そしてこの静かな部屋は私は気に入る所であるのだから、私は世界に適応しないままに生まれ、何を得ることもなくここまできてしまったことの証明のようでなんとも切ない。休むことが悪だとされる…
もくじ (1章)
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