家出ねこなんて呼ばないで
第1章
濡れぬように
寒さに溺れぬように
僕のコートの裾で
君の身体をそっとくるめる
帰るところを知らない君の
冷たい身体をそっと抱きよせる
震えぬように
孤独に潰れぬように
僕の温かな息で
君の瞳にそっとささやく
帰るところを知らない君を
熱い思いでぎゅっと抱きしめる
ベンチの右端で
君は僕に無言の思いを語る
家出ねこなんて呼ばないで
そんな名前をつけないで
ちょっと離れていただけだから
自分で迷ってみただけだから
ベンチの左端で
僕は君に無限の思いを伝える
家出ねこなんて呼ばないよ
そんな名前は忘れよう
ずっと一緒にいたいから
ふたりで進んでみたいから
さあ、
君と僕の
暖かい場所に帰ろう
十六夜月が
東の空に昇りきる前に
君の顔の真ん中に
優…
もくじ (1章)
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