完結

幸せの積みかた

歴史

更新日:2021年6月9日

幸せの積みかた

第1章



せんべい長屋の木戸をくぐると、ドブの匂いと薄い味噌汁の匂いが鼻の奥をくすぐって、やっと帰ってきたと駆けどうしの泥だらけの足を止めた。

奥の便所から二番目の左手が、私の実家だ。
おっ母さんが倒れたと、土場仲間から伝え聞いて矢も盾もたまらず帰ってきた。

がたぴしと傾いた引き戸に手をかけようとした時、肩をぐいとつかまれた。

思わず身を引いて、手をあげる私を両手を振りながら「わしや!わしや!ター坊」と小声で叫んでいるのは、せんべい長屋の世話役、清平さんだ。

「世話役さん!」声をあげる私に人差し指を口に当てて「しー」というと、徐に袖を引っ張って自分の家まで引っ張っていかれた。

世話役の家で「さぁ。あがって」と言わ…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年6月9日

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