完結

ハレーション・ホロウ

恋愛

更新日:2021年6月12日

ハレーション・ホロウ

第1章

 彼の日陰を歩かなくなって、私の人生には少しだけ日が差したのかもしれない。私は夜が更ける度に彼の匂いを思い出しそうになるけど、それを必死に食い止める。部屋中にキツめの香水を振り舞いたりして。


 何度目かの一人の朝に、トングの入ったブリキの缶を片手に持って近所の砂浜を歩く。もう片手には写真の束。

 現像したフィルムの写真はどれもぼやけていたり、ブレていたりしていた。彼の撮った写真の中に、私という人間を正しく撮影出来たものは一枚だって無かった。私の撮った写真は、出来上がってみれば窓際のサボテンだとか、鏡越しの自分だとか、お気に入りのジュエリーだとか、そんなものばかりだった。

 私はそんな写真のすべてを燃やして…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年6月12日

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