願わくは
第1章
さよなら、と言ったのは一度だったのに。
その言葉にこもった熱とどうしようもない感情のせいで、ずっと響いている。
‥・*・‥
つくづく、私たちの関係は不思議だと思う。
有り体に言えば幼馴染。同い年で家が近くてよく一緒に遊んでいた。
でも、それほど単純な関係ではない。
高校を卒業してから一緒に住み始めたけど、恋人というわけでもシェアハウスというわけでも疚しい関係があるわけでもない。
強いて言うなら、私は彼の精神安定剤なのだろうか。きっとそうだろう。
彼は私がいないと生きていけないほど疲れていたし、私は彼を愛していた。
だから成り立っていた関係だった。
彼の歌声が世界に響き渡ったのは私たちが高校二年生の頃だった。
…
もくじ (1章)
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ただ、願う。
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