ぼくらの恋愛が始まるなんて、絶対ありえないけど
第1章
「バスケ部、写真、撮りますよー!」
まだ開かぬ桜の木の下で、胸に花を咲かせた卒業生達を閉じ込めるようにシャッター音が響く。私は、ちらと愛貴《あき》を目で追った。この3年間ですっかり癖になっていた。3年生の愛貴よりも、後輩たちが泣いているものだから、卒業するのはどちらだか分からない。後輩たちとは反対に明るく笑う愛貴。別々の大学へと進む私たち。制服姿を、いや、こんな近くで愛貴を見るのも今日が最後か、と散々この日が来る覚悟はしていたのに胸がぎゅうっと縮む。3年間飲み込み続けた気持ちは、喉元まで出てきていた。
「あき……」
「愛《あい》くん!」
私より通る声。愛貴は私とは逆方向へ振り向いた。だめだ、今を逃し…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
親友という名の、ただのマネージャーで相談役なのかもしれない。
同じ部活の愛貴に、3年間片思いしてきた果恋。
愛貴には可愛い彼女がいる。それでも、と淡い期待を消せずに迎えた卒業式。
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