ストロボ・ギフト
第1章
写真は真実を写すとでも?そんな訳がない。ある一瞬というのは、感情さえも正確に伝えることはできない。被写体と写真家。そこには、ある目論みが必ず存在するのである。
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「オーケー、いい表情だ」
手元のリモコンでシャッターを切る。アンブレラがストロボの光を吸い込み、柔らかい光をセツに浴びせた。セツは目ヂカラが強い。自分の意志を曲げない危うさを瞳に宿している。ファインダー越しだと、それがよくわかる。
「何かあったのかい?今日は一段と眼光鋭いけど。女にでもフラれたか?」
「そんなんじゃねっーすよ、操さん」
「時代への反骨か」操は脳内にゆっくりとタバコを燻らし、それをフゥーーっと吐き出した。「若さってのはいい。時代…
もくじ (7章)
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