だって俺の恋心なんて、これまで一度だって叶うものだった試しがないじゃないか。
第1章
これならいいのかよ。なぁ。
握り潰すほどの強さで俺の手を握ってくるこの男は、確かに男だけれどどこか中性的で、けれど確固たる強さがあって。俺の「そうなりたかった」が隣で同じ感情に戦慄いている。
これなら、いいんだろ。
こんな感情もきっと奴らにとっちゃ負け犬の遠吠え。世界はこんな俺らを見て、猫撫で声で言うのだろう。「そうよ、それでいいの」と。そして満足げに目を細めるのだ。
あぁ、そうかよ。これで満足かよ。
もくじ (4章)
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