完結

審判は下る、されど咎人はおらず

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2021年8月15日

審判は下る、されど咎人はおらず

第1章

敏腕検事はため息をこぼした。「何かの間違いであってくれ」と被告人の供述調書や事件の概要、諸々の証拠品を何度も照らし合わせてみるが、嫌な予感が現実味を帯びるだけであった。ちらと被告人の方を盗み見ると、同乗してしまうほどに顔面蒼白である。自身が置かれている状況を未だに呑み込めていない様子だった。検事は確信する。

被告人は無実である。起訴した張本人が言うことではないが、彼は断罪されるべき人間ではない。少なくとも、検事の手元の資料は被告人の無実を示していた。

事件は都内某所のマンション、その中庭で女子高生の死体が発見されたことから始まる。彼女の身元は13階に暮らす一家の1人娘。ベランダの手すりから彼女の…

もくじ (3章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年8月15日

  • 第2章 第2章

    第2章

    2021年8月15日

  • 第3章 第3章

    第3章

    2021年8月15日

作品情報

そして誰も救われず。

「理性を持っていること」と「理性的であること」は違う。つまり、人間は理性を持っているが、常に理性的な行動をとるわけではないということである。プライド、金、大義名分。土壇場に立たされたとき、理性などそれらによっていとも簡単にひしゃげる。およそそこに人間が神になれない所以、あるいは猿とさして変わらない所以がある。天秤はいつだって自分の方に傾くのだ。
…なんてカッコつけすぎなのである。どたんば、どったんばったん。

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