完結

寅吉の春恋慕

歴史

更新日:2021年8月11日

寅吉の春恋慕

第1章

「いっしょに抜け出さない?」というお梅のささやきに、寅吉は思わず狼狽した。

 なんたって春日町のお梅といったら、ここいら一帯では右に出るものがいないってくらいのべっぴんだ。その評判どおりの可憐な容姿に、寅吉も焦りを隠せない。

 風の噂では神谷町の料亭“伊東屋”に嫁ぐことになったって話だ。それにくらべて寅吉は、ここいら一帯をぷらぷらとしているだけの昼行灯。どう頭をひねくり回したって、お梅と寅吉とでは釣り合いが取れない。

「お、お梅……そいつぁ、一体どういう了見だ」
「そのまんまよ、あたしを連れ出しておくんなさいまし」

 寅吉はいよいよ悪い汗が出てきた。お梅はいったい何を考えているというのだろう。

 恐る恐る…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年8月11日

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時代小説風に挑戦なのです。

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