クマ

その他

更新日:2021年8月18日

クマ

第1章

 クマのぬいぐるみを殴った。何度も何度も。
 力任せに振り下ろした拳で目と鼻の間を狙った。
 可愛いクマの顔が何回もぐしゃぐしゃに潰された。
 ぬいつけられたビーズの目が取れかけてようやく、衝動が収まって手を止めた。

 目の前に転がる無残なクマの顔を見ていたら、急に自分の非道さが怖くなってそっとクマを抱き上げた。

「ごめん。ごめんね。痛いよね」
「……」返事はない。
 へこんだ丸い花が少し膨らみを取り戻しただけだった。

 抱きしめて頭を撫でた後、洗剤を薄めたぬるま湯を用意して、丁寧に手洗いをしてあげた。
 洗い終わっぬぐるみが窓辺で干されている後ろ姿を見るたび、罪悪感で叫びそうになる。

 どうして僕は、大事なものを大事にで…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年8月18日

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好きなものは10年たっても好きでいられるタイプです。

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