ロッキンロック
第1章 0
また同じ夢を見た。あの子は今日も泣いていた。それは僕にとって一番の悪夢だ。
ある時は電気を消した暗い部屋で、ある時は都会の雑踏の真ん中で、またある時は僕の知らない大勢のクラスメイトに指をさされて、あの子はたった一人で泣いている。
エメラルド色の瞳から大粒の涙が転がり落ちる。顔を伏せるように俯いて、恥じ入るように背中を丸めて、勝ち気だったあの子の面影はもう無い。
僕はそれを地縛霊みたいに後ろで見ている。慰めの言葉をかけることも、うなだれるあの子の背中をさすってやることもできない。なんて後味の悪い夢。結末はいつもバッドエンドだ。
全部、僕のせいなのだ。僕が本当のことを言わなかったから、あの子は今日もどこ…
もくじ (10章)
修正履歴作品情報
小説宝石最終お題
土壇場(第一お題)
『クォーツ』
( https://monogatary.com/story/266392 )
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