箱の中身は
第1章
大阪は好きだが、どうせ来るなら仕事ではなく観光で来たいものだ。
心斎橋の懐石料理屋で俺を接待してくれた取引先だって、
「三崎さん、今度はもっとゆっくり来てくださいよ。ミナミに良い店あるんですよ」
と言ってくれた。
大阪に出張するなら日帰りで。宿泊は駄目、なんて、ウチの会社は随分ケチくさい。
新横浜から大阪まで新幹線で二時間と少し。五時から飲み始めて八時に終わらせたって、帰宅は深夜だ。
優秀な営業マンをもう少し大切にしてくれてもいいんじゃないか?
毎年何千万単位で仕事を発注してくれるお得意様との良好な関係は、俺が維持してるんだ。
今日の会議だって、うまくいったのは俺のおかげだろ?
いわばキーパーソンだぞ、キ…
もくじ (9章)
作品情報
新幹線で出会った二人の男の話です。
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