塩でも、ミルクと一緒でも。
第1章
「マナブくん、タクシー頼むでしょ?今電話するから一緒にオーダーするね」
ロッカーの向こう側からカチリという鍵の音と同時に上村さんの声が届く。
「ありがとうございます!お願いします」
慌てて帰り支度の手を速めた。
フライトタイムと勤務時間が規定時間を超えるから、今日はタクシーを利用することができる。
リムジンバスで新宿に出て、そこから自宅までタクシーで帰れるのはありがたい。
ほぼ立ちっぱなしで10時間以上働いた後に、大荷物を持って混雑している電車に乗るのは辛いだけでなく肩身が狭い。
「家、中野だよね?」
「はい」
キャリーケースをひいてロッカーの向こう側に顔を出すと、上村さんはそのタイミングでスマートフォンの画…
もくじ (7章)
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