俺はドラゴン
第1章
「おい、そこのドラゴンさん」
声を掛けられたのに、俺は返事もせずに自分の持ち場に向けて進む。無視したわけではない。作業音がうるさく聞こえてなかっただけだ。
中途採用で、この3月からサッカーボールを製造する工場に勤務を始めた俺。ドラゴンが人間に混ざって作業するとなると、勝手が色々と違うので大変だ。台に椅子にハサミにマーカーペンと全てドラゴン基準には作られていないため扱いづらい。
仕事が出来ない
職場の人間と馴染めない
火を吹くような仕事量とスピードに追われる
俺は俺なりに悩んでいた。
相談できるドラゴンも人間も、職場にはいなかったからだ。
「新入りの気持ち、先輩社員分からず」なんて言葉がある。
新入りであれ…
もくじ (6章)
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