完結

未完成の僕らは、それでも笑う

青春・学園

更新日:2021年9月21日

未完成の僕らは、それでも笑う

第1章




「ついに、だね、モモ」

「そうだな、ナシ」



 緊張で震えた声で話しかけた僕に、いつもと変わらず穏やかな低い声でそう答えたのは、幼馴染のモモ。



「モモ、緊張してないの」

「……してる」

「嘘だ、全然いつも通りじゃん……」

「ナシが緊張しすぎなだけだろ。なんだよその声」

「だって……」



 手が震える。有名な音楽番組のロゴの入った進行表に、『桃坂ミツル(とうさかみつる)』と『梨河サトル(なしかわさとる)』の文字が書かれているのが、まだ夢のようで。



「……ナシ、手ぇ貸して」

「え」



 唐突に落とされた言葉に、目を瞬いた。そうすればモモは、舞台裏の薄暗い場所で肩から下げたベースを一度下ろして傍に置き、こちらに左手を差し出した…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2021年9月21日

作品情報

「いこう、モモ」
「いくぞ、ナシ」
僕らは世界のはざまで、笑ってみせよう。
未完成のこの場所で、いつまでだって、笑ってみせよう。
たとえ僕らのちっぽけな笑みが、グリッチ程度の偽りの笑みにしかなれなかったとしても、それが、僕らが君の為にできる、そうして、僕らの為にできる、すべてだと思うから。

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17分

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