完結

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更新日:2021年9月21日

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第1章 Rewind

【 ① Film Frame No.1 】

「ヒバさん、明日のS社の撮影なんですけど、今日の午後に変更して欲しい、って連絡がありました。詳しくは先方に直接聞いてみてもらえますか?」
朝、出社してすぐに同僚から声を掛けられた。S社はこの地域の老舗食品メーカーで、うちのお得意様だ。私の勤める小さな映像スタジオはS社のイメージアップ戦略のため、様々なキャンペーンサイトに使用する写真や映像の制作を請け負っている。明日は、S社の社長のダイエット企画の撮影の予定だった。
私はすぐにS社に電話を掛け、「ヒバです」と名乗り、撮影の日程変更の件について問い合わせた。「撮影は今日の14時からに変更になりました」と同僚に伝えて撮…

もくじ (1章)

修正履歴
  • 第1章 Rewind 第1章 Rewind

    第1章 Rewind

    2021年9月21日

作品情報

夏という季節が、幼い日の記憶を
強く蘇らせるのはどうしてでしょうか。

よく晴れた夏の日、汗をぬぐって太陽を見上げると
とうに忘れてしまったはずの昔の風景が
頭の中で鮮やかにフラッシュバックすることがあります。

なにか、とても、大好きなものがあったはずなのに
その「なにか」は、陽炎のように揺らぐばかりで
今となってはもう、確かめる術がありません。

夏がやってくるたび、私は幼い日に大切なものを
そっくり置いてきてしまったような感覚に襲われて
わけもなく、涙があふれてくることがあるのです。

時間を巻き戻すことはできないけれど
記憶の中に焼き付いた風景の一枚一枚を
カメラのフィルムを巻き戻すように
思い出すことはできる。

どれだけ時間が流れても
決して消えることのない風景を
誰もが持っている。

そのことを
この物語を読んだ貴方が
思い出してくれたら嬉しいです。

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