まさかの十五夜
第1章
ガチャンッ
キイっと軋む扉を開けると、さあっと夜風が頬を撫でた。
周りに高いビルが無いここの屋上は、6階建てだが屋上の景色は遠くの山の方まで開けて見え、きらびやかな夜景が広がっている。日と時間帯によればきれいな夕陽を見ることができるここは、私のお気に入りの場所だ。
とはいえ、この夜景を作っている個々の光の元では、何万もの人が今の私と同じように、目の前の残業にうんざりとしているのだろう。
ガチガチになった体で、くっ!と背伸びをすると、街並みの光に負けじと、煌めく都会の少ない星達が目に入った。
そして今夜はひときわ月が美しい。
(夜空を見て、月がきれいだなんて・・・思ったのはいつぶりだろう・・・。)
空や…
もくじ (1章)
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